2007年07月27日

災害ボランティアは本当に危険作業を拒否できるのか

「で?結局何が言いたいの?」と自分でつっこみたくなるような内容になるだろうけれど、とりあえず書き留めておこうと思う。災害ボランティアははたしてどこまでやるべきなのか。というお話。

昨日、新潟県中越沖地震の災害ボランティアバスを利用し、柏崎市に行ってきた。 ここで素直に『ボランティアに行ってきた』と書けないのは、大雨警報が出るほどの悪天候のため中止になったからだ。(※ただし、厳密に言うと午後1時に警報は解除になり、一部の人はボランティアをおこなった「らしい」)

ビッグスワン近くの駐車場を、バスが出発したのは朝7時。高速に乗り、長岡を過ぎたあたりで付き添い役の県職員女性から、「大雨注意報が出ている。もしも警報に変わった場合、中止になる可能性がある」とアナウンスがあった。とりあえず現地へと向かうバス3台。嫁にメールすると、「今、中越地方は警報に変わったよ」と返信が来た。ううむ。このままUターンかな。外はバケツをひっくり返したような土砂降りだ。

私が乗った、ボランティアセンター直接乗り入れバスは9時30分ころに目的地に到着。「12時まで休憩室で待機します。このまま警報が解除されない場合、本日の一般ボランティアの受付は中止します」ということで、皆が待機。私は県職員の女性に断り、かつて自分が働いていた場所と、住んでいたアパートを見に行くことにした。

センターから歩くことわずが10分の場所に、かつて私が1年間講師として務めていた中学校がある。テレビで見ていて分かってはいたが、学校周囲にあった古い家がぺしゃんこに潰れている姿に、心が痛んだ。土砂降りの雨のせいか人通りは少ない。 学校の周辺を歩き、それからアパートに向かった。こちらは外から見た限りまったく問題なしだ。私は地震とは別に、あのアパートがまだあったことに単純に驚いたのだが。

テレビでは全半壊した家ばかり映すので、まるで柏崎全体がガレキになっているような錯覚になる。実際には多くの家が(素人が外から見た限りでは)大きな問題はなさそうに「見えた」。 3年前の中越地震、川口町に入ったときの、絶句するような光景とはちょっと違っていた。 まずなによりコンビニが普通に営業しているし。

あちこち歩き回り、12時前にボランティアセンターにもどる。雨は止み、薄曇りになっていた。

12時。センターの人が休憩室に来てアナウンス。このとき待機していた人たちはバス以外の人も含め、約100名。
「大雨警報がまだ解除されません。従いまして今日の作業受付は中止とさせていだきます。ただ、今現在雨はやんでいますし、午後2時には解除されると予測しています。その後、受付を開始するかも知れません」とのこと。

バスで柏崎入りした我々は、県職員を中心にして相談を始めた。
『初めに説明したとおり、帰りのバスは16時にセンターを出発するため、作業は15時30分で切り上げなければならない。14時に受付が始まったとして現場に着くのが14時半。それから15時半までの作業となってしまうが、それでも良いか?』

参加者の多数決をとる県職員。 ここで私の主観を挟むと、この場ではあくまで引率役として責任を持った職員の判断で決めるべきだったと思う。多数決など採らずに。

『短時間であってもやりたい』と、挙手した人はざっと見たところ約9割。 確かにボランティアをするためにここまで来ている以上(※県外からの人も10人以上いた)、当然とは思う。 思うのだけれど、私は反対なので挙手せず。

ほとんどの人が挙手する中で、「ではこのままもうしばらく待機しましょうか?」という雰囲気になった。 私はそれはいかがなものかと思い意見を言おうとした時、大学生くらいの若い男性が発言した。

「そもそも今日、被災者から依頼されている仕事はあるのか? それは1時間で完了する程度のものなのか? もしも沢山の仕事があるのならば、我々が1時間だけ作業して戻ったら、依頼主は逆に困るのではないか」

ああ言われた。ちくしょう若いくせになかなか生意気なことを言ってくれる。

県職員
「実は、この大雨のためなのか、本日はあまり依頼が無いようだ」と回答。場の雰囲気が一気に逆転した。

「そうだねー。家の中がぐちゃぐちゃの中、1時間だけ作業して帰られたら、むしろ迷惑かもねー」という小声があちこちから聞こえる。結果、13時にバスを出発させ新潟に帰ることになった。 北陸道は大雨で通行止めになっているため、小千谷ICにバスは向かう。

「今日は中止して帰ろう」という判断が本当に正しかったのかどうかは、たぶん誰にも分からない。依頼者にしてみれば、たとえ1時間であったとしても手伝ってくれた方が良かったのかも知れないし、逆に 「なんでそんな中途半端な仕事するの?」と、ものすごい反発を感じたかもしれない。それはたぶん、本当に誰にも分からない。

バスは16時にビッグスワン駐車場に到着。雲の隙間からぎらぎらした太陽が顔を出していた。バスを降り、駐輪場に向かうまで途中、街路樹にちいさなカブトムシを見つけた。

以上。ここまで事実関係。

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ここから考察。

私にはもう一つ、あの状態で作業をすることに反対する理由があった。おそらく雨漏りくらいはしているだろう建物。水を吸って濡れて重くなり、柱もふやけている状況で、危険ではないのか?ということだ。

バスの中で渡された注意書きの中に、「危険な作業を依頼されたら、断ってください」という項目があった。当然だ。しかし実際には、多くのボランティア参加者は断ることが出来ないのではないだろうかと思う。日本人的な気質 (…じゃあ外国人はどうなのかと聞かれても分からないけど…) と、「災害ボランティア」という役割の観念。 「危険だとおもうので、やりません」と断れるのか。この日、バス参加者のほとんどの人が挙手するのを見て、その思いを強くした。 たぶんみんな、危険を承知でも、でも、やる。やってしまう。

いうまでも無く、ボランティア作業員は消防士でも自衛隊員でもない。生命の危険を冒してまで作業する必要など、無い。とはいえ、災害地で作業する以上は100%安全な状況と断言出来ないのも事実だ。そのバランスをどう取るのかは、最終的にはひとりひとりの判断によるのだろう。

今まで危険度の高い建物にボランティア作業員が入ることについて、一切認められなかった。しかしそうなると実質的に作業できる場が限られてしまい、人手はあるのに作業できないという問題があった。今回の中越沖地震では、見張り役の人を置くなどして、ボランティアが半壊した家屋などで手伝いすることが一部認めらるようになった。よいことだと思う反面、ボランティアの人が大けがをする可能性が高まったとも言える。 これがベストなのかどうかは、たぶん本当のところは、誰にも分からない。

ボランティアに行くたびに、嫁と顔を見合わせて「くすっ」と笑ってしまう思い出が私たち夫婦にはある。

3年前の水害の際、私が個人的に書いているアルビファンホームページの掲示板に救援情報を載せたところ、えらい勢いの怒りようでメールをいただいた。どうやら私がネタとギャグで水害を扱ったと写ったらしいのだ。いくら私のサイトいつもネタばっかりだとしてもちょっとあんまりだ。 その人は「おや連」という遊びのあつまりで私も2、3回お会いしたことがある。ただ、ちょっと私の考えることもあり、もうしわけないが距離を置いていただけませんかとお願いした人だ。人からいただいたメールを公開するのはマナー違反だろうが、もう3年も経過しているし、一部だけならいいだろう。

いただいたメールには、いきなりこう書かれていた。一言一句、改変せずにそのまま貼り付ける。

 >>アルビサポやおや連は、誰も生活や生命をかけてやっていません。

なぜここで「アルビサポ」と「おや連」が出てくるのかちっとも理解できなかったが、とりあえず私は返答した。「ボランティアに生活と生命をかけるのは、間違ってますよ」と。

この返答でどうかしら?とメールを嫁に見せると 「この人はボランティアを、生活と生命をかけるほど崇高なものだと思っているから、通じないんじゃない?」と、ドライに答えられた。

もちろん物見遊山で行くボランティアなどいらないけれど、かといって、決死の覚悟で行くボランティアもなんだかなぁと思う。どこまでやるのか、どこから拒否するのかは、制度とか規則とかではなくて、結局最後は一人一人の判断にゆだねられることなのだけれど、ボランティアに参加する人はまじめで、みんな危険の壁を乗り越えちゃいそうでちょっと怖い。

つまり結論はなんなんだ。なにが言いたいのかと問われると良く分からない。だからまず書き始めにそう書いたじゃん。

posted by ちゃきん at 12:57| Comment(3) | TrackBack(0) |
この記事へのコメント
もっとみんなが色んな意味で慣れればいいなぁと思った。
災害ボラなんて慣れたかないけどね。
応急危険度判定とそれによるボラの運用しかり、
ボランティアリーダー的な人の養成しかり。

色んな経験をする事によって「引き出し」が増えて、中に入れる「ノウハウ」が増えると思う。

あとボラにも特殊部隊が必要なのかなって思い始めた。

ユンボやユニックの扱いに慣れてる人、解体業や建築関係の人を一般ボラとは区別して別働部隊として運用するってもの。

彼らもボラだけど少なくとも素人よりは危機管理と危険予知のノウハウは優れているわけだしね。

Posted by へぎそば at 2007年07月27日 17:58
どうも。
そういえば、今日は有給使って柏崎へ行こうと思っていたのだった。ああ。
ボランティアって、「自分が気持ちよくなるため:「自分が「あ、俺でも役に立てることあるんだな」と思えるために」やるものかなと思います。
去年、岡谷市の水害支援ボランティアで側溝半日掘って思いました。
いやあ、側溝がきれいになると、気持ちいいんですよ。しかも、帰りに「ありがとうございました」なんて言われちゃうんですよ。俺なんかに。
「こちらこそありがとうございました」って感じでした。
Posted by reo at 2007年08月02日 15:33
色々なことがあるから何から書いていいんだか。

うーん、やっぱりやめた。

>ボランティアに参加する人はまじめで、みんな危険の壁を乗り越えちゃいそうでちょっと怖い。

これは分かる。
こういうのって結構覚悟してきているからなおさら。

Posted by おにぎり at 2007年08月08日 18:57
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