2005年10月27日

佐渡のイラストレーター。ジョニ・ウェルズさん。


「島へ。」という雑誌から仕事を頂いて、26日に佐渡へ行ってきた。取材先はジョニ・ウェルズさんというカナダ出身のイラストレーター。現在読売新聞の東京版で週に一度連載をもっているらしい。ジョニさんは水彩画を中心としたイラストを描いているが、カナダ、あるいは東京に自分の絵を送るにも、スキャナで読み取ったデータをメールで送るだけ。今では自分の仕事で佐渡から出ることはほとんどないという。そういえば、今回の私も、編集部の人とは実際に会ったことなど一度も無い。電話とメールで連絡を取り合い、必要なものは宅配便で送る。それだけだ。私の担当は女性の方なのだけれど、どんな顔をしているのかね?



なかなか興味深い話を二時間近くにわたって聞かせていただいたが、本で記事になるのは2ページだけ。今回は写真を大きめに使用するとのことで、文字数にすると1400文字しかない。1400文字というと、小学生のときの作文の時間に400字詰原稿用紙を埋めるのに四苦八苦した記憶のある人にはとても多いように思われるだろうが、実のところ活字にしてみるとほんのわずかの量でしかない。ちなみに今日の日記は、ここまでで既に文字数が約300文字だ。パソコンであれこれタイプしていると、1400文字などあっという間に埋まってしまい、あれを削りこれも削り、それでも結局1600文字をちょっと超えてしまった。


今回は写真も含めて完全に自分1人の取材で、逆に言えばある程度はデザインの自由度はあるので、もうこのまま1600文字でいいや。と、そのまま入稿した。あははは。


で、文字数の関係でどうしても書けなかった部分も含めて、ちょっとここに書きたいと思う。


ジョニさんの心の中では、カナダよりも佐渡のほうが「地球の大きさをダイレクトに感じることが出来る」土地なのだそうだ。


カナダの場合は土地が広すぎて、海は海。山は山と限定されている気分がしていたのだそうだが、佐渡ではちょっと歩けば海。ちょっと走れば山というように、程度の良いコンパクトな広さの中に地球のいろいろなものが凝縮されているようで、それがとても気分が良いらしい。特に思い出深いのはドンデン山頂上の西側で海に沈む夕日を眺め、その翌日にはそこからわずか数百メートルの反対、東側に歩くだけで、海から昇る朝日を眺めることが出来るのだという。また、地球が平坦ではなくて球であることも佐渡に来て体感できたという。佐渡ではイカ漁が盛んなので、夜、沖には沢山の漁火(いさりび)が現れる。山を登る前に漁火の数を数えると、5つ見つけられる。そこから徐々に登り始めると、5つあった漁火が6つになり7つになり、そして頂上に登ると10の漁火を見ることが出来る。そして山を降りると、10あった漁火が9つになり、8つになり・・・。そうやって、地球が球形をしており、高い場所に上ることでより遠景が見えるという体験を出来る。それがジョニさんはとても嬉しいのだそうだ。


彼はとにかく何でも「自分でやってみる」人だ。佐渡では能や人形浄瑠璃などの伝統芸能が、今でも庶民の娯楽として生き残っている日本で唯一の場所だと私は思っているが、ジョニさんはそんな佐渡にあこがれてカナダからここに移り住んだ。来た当初から佐渡の文弥人形第一人者に教えを受け、操るだけでなく、その人形までも自作してしまった。


「作り方なんて全然知らなかったけれど、見よう見まねでやってみたら、出来てしまった」とニヤリと笑う。そんな彼は今、自分の家の庭に茶室を建築中だ。さすがに設計図面までは引けないのでそこは本職に頼んだが、いわばプラモデルを作るノリで、実際に木を削り、組み上げるのはジョニさん自身だ。ただし、これも本職の大工ではないのであちこち隙間が開いていたりするのだが、「自分で使うのだからそれで十分」と、細かいところは全く意に介さない。茶室の名がまた面白い。「個乃庭 堂」と書いて読み方は「このていどう」。そう、つまり「この程度」なのだ。自分で作って自分で使ってそれで満足だから、この程度で十分ですよ。と、そういう意味らしい。そんなジョニさんのホームページはこちらだ


ジョニさんがあちこち改造している家は、実は借家だ。古い家なので、骨組みをいじらない限りは内部に手を入れるのは自由であると、大家から許しをもらっているとのこと。家賃は教えてくれなかったが、「庭を含めてのメンテナンスも込みだからね」と、破格の安さで借りているらしい。実は佐渡にはこのような、破格の値段で借りられる一軒家はかなりあるらしい。何故かというと、佐渡を出て暮らしてはいるが、それでも佐渡に残してきた家を手放すほどには気持ちが離れていない。そんな人が多いらしく、長期にわたって使ってくれる人に貸しているのだ。ただし、先祖から受け継いだ大切な家だから、どこの誰とも知らぬヤツに貸すのもイヤだ。その結果、不動産屋は通さずに、友人や地域がらみの人づてによって紹介された人にのみ貸す。そんな風潮があるらしい。事実、佐渡でのアパートや賃貸住宅は決して安くはない。あくまでコネクションによって借りられる物件のみ、広い一軒家が破格の値段で借りられるとのことだ。佐渡移住に興味のある人は、まずは観光で何度も訪れ、そこから現地の人と仲良くなって紹介してもらえるようになればなんとかなる。かも知れない。



東京の編集部が、取材費節約のために佐渡汽船とタイアップ。チケットはフェリー代も含めて提供してもらった。乗船費用はともかく、クルマを乗せると往復2万円以上かかる。前回の佐渡取材ではレンタカーを借りたのだが、今回はフェリー代も出していただけるということで、自分の車で佐渡に乗り込んだ。


しかし、正直に言うとあまりこれはありがたくなかったのだ。要するに、クルマをフェリーに乗せる手続きに掛かる手間と、出港40分前には手続きを済ませてクルマを所定の位置に待機させておかなければならないことを含めると、日帰り程度だったら明らかに現地でレンタカーを借りたほうが楽なのだ。



帰りは16時10分に佐渡を出港。港を出てしばらくすると、船内放送で「夕日がとてもきれいです。ぜひご覧下さい」のアナウンスが流れる。うん、なかなか良い心遣いだな。



前回は強引にデジタルカメラで仕事をさせていただいたが、今回は「ポジフィルムでお願いします!」と、きちんと指定されたために、2年ぶりくらいにNikon F3を使用した。きちんと写っているかとても不安で、ひとつのシーンを念のために何コマも撮る。そのため支給されたフィルム6本をあっという間に使い切ってしまった。仕上がってくるまでとても不安だったが、「まあまあなんとか」という感じだ。ただ、薄暗い室内の雰囲気を大切にしようと、フラッシュなしでの撮影で、しかも三脚を持っていかなかったために手ぶれを起こしていないかが不安。私の持っているルーペではそこまで確認できない。こればっかりは本の仕上がりを待つしかないだろう。ドキドキ。 ちなみに、ここに載せている写真は、予備に持っていったデジタルで撮影したものです。


 


で、ここまでで約2700文字。ほらね、1400文字なんてあっという間にオーバーしてしまうでしょ。

posted by ちゃきん at 22:25| Comment(13) | 日記
この記事へのコメント
こんばんは。

伝統芸能や田舎暮らしにディープにハマッている人の中には、結構外国の方がいらっしゃいますよね。ジョニさんが言われる「地球の広さ」なんてまさにそうだと思うのですが、日本人が見過ごしていることに敏感に気づくからなんでしょうかね?。

話変わりますが、原稿の感覚って、ホント商売用に文章書き出すと変わりますよね。小学校の頃、作文やレポートに、なんであんな時間かかっていたのか…今となってはフシギです。。。
Posted by ワタナベ at 2005年10月28日 00:31
佐渡は新潟から、いやむしろ日本から独立しちゃえばいいのに。なんて、冗談半分で良く話が出ます。エネルギーは自給できないけれど、食べ物その他はほとんど自前で大丈夫らしいですね。

小学生のときの作文なんて、無駄に改行したり「」を入れたりして、なんとか原稿用紙を埋めようと工夫してましたよねー(笑)
Posted by ちゃきん at 2005年10月28日 13:37
ワタナベさんがコメントしてると、アタシも!と思う不思議な気分 (^^ゞ。

んじゃ、私はカメラについて。
デジカメを買ってから、フイルムには戻れなくなりました。ひとつのシーンを、設定を変えて撮り、その場で軽く確認。帰宅後、PCに落とし、イラナイのは捨てる。
時々、いいのかなあ?という気持ちになります。
昔はアングルを変えて、考えて、よし、と思ってシャッター押してました。
現像に出し、写真屋さんで写真を見て、喜んだり、落ち込んだりしたものでした。

それにしても「フラッシュ&三脚無し」はデキがかなり楽しみですな(笑)。
Posted by みゆき at 2005年10月28日 18:14
そういや、何で佐渡って60HZなんでしょ?
東北電力は50HZだからなお不思議。
60HZの北陸電力からの越境送電?

糸魚川や妙高の一部でも60HZ帯があるって聞いた事があるけど。
糸魚川や妙高にはデカイ工場(電化・日曹)があるからそこからの分電?
Posted by おれ at 2005年10月28日 19:18
>みゆきさん

デジタルになってから、とにかく枚数をたくさん取るようになりますよね。なにしろ金が掛からないし。でも、気に入るものは結局フィルムのときと変らない気がします。「島へ。」は、新潟の本屋さんで売っているところを見たこと無いのですよね。私が見逃しているだけなのでしょうけど。

>おれさん

そうだ。佐渡は60Hzなんですよね。やっぱり新潟県じゃないな。あそこは。
で、全く分からないけれど、もしかすると佐渡島内で発電しているんじゃないでしょうか。飛島では発電所ありましたよ。
Posted by ちゃきん at 2005年10月28日 21:04
発電所は佐渡にありますよ.
人口約7万の電力を海底ケーブルでなんてムリ.
海水が電気分解しまっせ.
東北電力だけど60Hzの理由はわからないですね.

それより,日銀はどのようにして佐渡に紙幣を運んでいるのか気になる.
カーフェリーで現金輸送かな?
Posted by 南万 at 2005年10月28日 22:20
>なんばんちゃん

>>日銀はどのようにして佐渡に紙幣を運んでいるのか

それも佐渡で作っているんですよ。しらなかったの?
で、ルパンが忍び込んでゴート札発見するの。島からの脱出はたらい舟。「盗んだのはあなたの心だっちゃ」
Posted by ちゃきん at 2005年10月28日 23:34
>発電所は佐渡にありますよ.
やっぱねえ。でもなんで50HZの発電機じゃなかったんでしょ?

>島からの脱出はたらい舟。
漂着するのは柏崎?「お光と吾作」とごっちゃになってる。
Posted by おれ at 2005年10月29日 06:36
日本に憧れて日本に来るカナダ人。
カナダに憧れて永住権を申請した嫁。(たった5点足りずに落とされたけど)

人生いろいろだねぇ・・・
Posted by れな at 2005年10月29日 23:39
とっつぁんはここでも「埼玉県警察」と書かれたたらい舟で乗り込むのかいな?w

そういえば,佐渡未踏か佐渡出身の人と話したことがない人を見分けるには,「?だっちゃ」と聞いてラムちゃんをイメージするかどうかというのはいかがだっちゃ?

だちかん?
Posted by 南万 at 2005年10月30日 20:16
あぁ、佐渡の言葉だねぇ・・・。
(しみじみ)
Posted by かおちん at 2005年11月04日 09:49
だっちゃ、というのは、仙台あたりの言葉だと思っていました。佐渡だったんですか。
Posted by ぱお at 2005年11月06日 12:47
父と母が亡くなって10年以上たってます。私も退職して父の実家の佐渡の家を年に2度〜4度各1週間づつメンテナンスと墓参りのために行ってますが、正直1週間以上すると退屈を感じていました。ジョニーさんの言葉を聞き佐渡の魅力をあらためて感じて見ようとおもいます。ただのんびり暮らすだけではなく何をするかが肝心だと思いました。。
Posted by 古藤雅俊 at 2017年09月19日 11:10
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。