2006年06月16日

高校の野球部を取材して感じたこと


昨年発売され、それなりに好評頂いた「夏の全国高校野球。新潟県大会展望号」は今年も6月末に発売される。


昨年発行元の恒文社は残念ながら昨年末を持って雑誌の出版を取りやめに。今年はその親会社のベースボールマガジンが出版を引き継ぐ形になった。私はその取材で、ここ2週間以上にわたって毎日毎日、新潟市とその周辺の高校野球部を回ることに。


現在新潟県に硬式野球部は95校。登録上は97校あるのだが、そのうち燕と中条工業は硬式野球部が休止中。95校を高校野球重鎮の先生方や私などのライターが手分けをして取材にまわる。私の持ち分は22校。本当は24校なのだがそのうち2校が先に書いた休止中の学校だったために取材の必要が無くなった次第。


部員の集合写真は春の北信越大会で朝日新聞社が撮影したものがあり、それを使用することもできる。できるのだがその写真は試合会場を背に、登録選手だけがまじめな表情で写っている。 昨年と同様に、今年もかしこまった集合写真よりは全部員とマネージャーがにこやかな表情で笑いながら写っている集合写真を掲載したいということになった。チーム状況の話を監督に聞く取材と同時に、それぞれの学校で練習の合間に部員に集合してもらい写真を撮影した。


一校あたりの取材時間は撮影も含めて30?40分程度。しかし当然ながら放課後16?19時の練習時間しか取材できないために、1日2校程度しか取材できない。相当効率よく回ることができても3校が限度。佐渡5校を含めた22校を取材し終わるのに結局2週間以上かかったわけである。


生徒の集合写真は、それぞれ学校の気質が出てきて面白い。勉強のできる偏差値の高い高校から、入学の敷居の低い学校まで様々な高校の野球部を回ったが、気持ちよい対応をしてくれる学校がある一方、不快とはいわないが、だらけた雰囲気でなかなかチームがまとまらず、撮影時間が無駄にかかる学校があった。もちろんいろいろな学校があって当然だが、今回少々驚いたのは、高校間の学力の差が、生徒の判断やリーダーシップの発揮とはほとんど関係が無いことであった。


どの野球部でも写真は2種類撮影させてもらった。一枚目はいわゆる通常の集合写真。整列してまじめな顔で撮影する。このときはほとんどの学校で差は出ない。もちろん中には誰が前にでるか後ろに立つかという時点でなかなかまとまらない学校も1つ2つあった。しかしそれはきわめて例外的。さすが運動部、大抵は皆がすぐに整列して撮影は終わる。


差が出てくるのはその後、にこやかな表情での撮影である。好きなように並んでいいし、ポーズもVサインでもガッツポーズでも、好きな格好をしてもらって良い。 「30秒くらいで、自分たちで決めてね」と課題を出すと、皆が黙り込んでなかなか決まらない学校と、アイディアが次々出てきて、それをリーダーシップを発揮するキャプテンがまとめてテンポ良く撮影できる学校とに大きく分かれた。 この部分に関して、学校間の学力の差が全く反映されていないのだ。


学力差別するつもりは決してないが、それでも私が高校生くらいの時はアイディアの出し方やリーダーシップの発揮は、現実として学力に比例していた部分があったと記憶している。今回、それらの差が全く無いことに驚くとともに、【本当にこれでいいのか?】という不安も感じた。


勉強ができる生徒たちは、たぶん将来それなりの役職に就いて会社を牽引したり、公務員になって地方行政や国政を担う立場になるだろう。 実際そうなってもらわなければ困るのだ。学校の成績と社会に出てからの実力は必ずしも一致しないことは重々承知だが、かといって学校の成績が全く将来反映されないようでは、一体何のための教育と勉強なのかということになる。 偏差値の高い高校なのに互いが牽制しあっているのかアイディアも出なければ、かといって誰かが強烈なリーダーシップを発揮して引っ張るわけでもない。このような状況で将来大丈夫なのだろうかと、ふとそんなことを思う高校野球部の取材であった。


ただし、部員のまとまりの良さと機敏さはその野球部の強さにはほぼ比例している。当然と言えば当然なのだが。

posted by ちゃきん at 16:44| Comment(3) |